またもやお久しぶりです. 以前の記事で大学教員は自由だと書きましたが, そうはいっても, こなさなければならない目の前の仕事が結構あって, そんなに自由じゃなかったりします(給料もらってるんだから当たり前ですが). 例えば先週は, 大学入学共通テストの試験監督のお役目を頂戴し, 土曜日の朝から晩まで試験場に詰めていました.
試験監督の責任は大変重いものです. 試験場でトラブルが発生したら, 受験生の人生に関わるので. ICプレーヤーを使う英語リスニングは特に神経を使います. 午前の地歴公民から始まって, 18:10, 大きなトラブルもなく英語リスニングが終わった時は, ただただ安堵です. 昨年の共通テストでは鼻マスク男(49歳)が現れて大騒ぎとなった試験場もありましたが, 現場担当者の精神的負担は相当なものであったはずで, 同情するばかりです.
本日のトピックは農業AI, あるいはアグリテック(AgriTech). いろいろあるなあと思いつつ, 記事を見かけるたびに記録していたものです.
Buzz Off, Bees. Pollination Robots Are Here. - WSJ (July 2021)
イスラエルのスタートアップ, Arugga AI Farmingが開発した受粉ロボット. 温室内を巡回して花の成熟度を画像認識し, 適切なタイミングでめしべに花粉を吹き付ける(動画参照). 熟練した農業労働者よりも高い生産性を実証したんだとか. 背景には農業人口の減少, 環境破壊による昆虫の減少など.
Demetria Launches AI-based Agtech Solution to Boost the Growth of High Value Coffee (Aug. 2021)
同じくイスラエルのスタートアップ, Demetriaが開発したシステムはコーヒーの接ぎ木がうまく育つか, 良質の豆を生むかを赤外線スペクトルから判定. 人間の専門家と同等の精度が実証されNespressoが採用. 判定アルゴリズムは非公開らしく, 論文や特許の類は見当たらず. 技術も含めてご丁寧にいろいろ開示してくれる日本の大企業と違って, ガードが堅い.
Microsoft Predicts Weather for Individual Farms - IEEE Spectrum (Oct. 2021)
米国の巨人企業, マイクロソフトも. 農地レベルのミクロ気候(Micro-Climate)を予測するその名もDeepMC. KDD21 (採択率15%)で発表. 気象情報を複数の時間解像度で受け取るCNNエンコーダにデコーダを組み合わせた系列変換(seq2seq)モデル. IBMやAppleも気象予測の会社を買収しているとかで, 気象予測の領域は昨今大変ホット.
An Army of Grain-Harvesting Robots Marches Across Russia - IEEE Spectrum (Aug. 2021)
ロシアのジョイントベンチャー, Cognitive Pilot社の自動運転コンバイン収穫機. カメラ1台のみで自律走行. GPSはロシアではカバー範囲が狭く, 使えないことが多いそう. 岩や大木などの障害物があるとはいえ, 農地は一般道に比べると平和な世界なので, 自動運転向き. 運転者が一人で運転と収穫を同時に行うのは負担が大きく, 自動運転のニーズは高いんだとか.
いろいろあるのはわかったけど, 日本の農業AIはどうなっている? そう思って探したら, あった. 我が国を代表する農機メーカー, クボタの自動運転アシストコンバイン, その名もアグリロボ! (1760万円~)
前出のロシアのスタートアップのような画像認識方式ではなく, GPSで自身の位置を知る方式. 「AI搭載!」的な売り文句はなく, 正直な感想をいうと, 地味な印象. もっとも, クボタはスタートアップ企業ではなく, すでに市場で確たる地位を有する伝統企業なので, 話題性は必要ありません(もちろんあった方がいいけど). 農業の現場で本当に役に立つものを顧客に確実に届けるという思いでやっておられるのでしょう.
今後も農業AIの新技術を注視したいと思います. 特に今後の我が国の進展に期待.
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