2021年12月16日木曜日

APSIPA 2021 Tokyoに行ってきた

すっかりご無沙汰しております.  何だか忙しい.  おかしいな.  本学に着任して1年を何とか回したのでこれからは暇になるかと思いきや, 学内の各種入試, 卒論指導, 学外の論文査読, 単発講義などが定常的に入って, 毎週の講義がまたもや自転車操業に陥り全然暇じゃない.  

そんな中, よせばいいのに掲題の国際会議が東京で開催中なので行ってきました.  正式名称は長くて, The 13th Asia-Pacific Signal and Information Processing Association Annual Summit and Conference, 略してAPSIPA2021.  久しぶりの日本開催で, 実は2年ほど前から組織委員会のメンバーとして準備に関わっていた立場なので, 少しでもイベントを盛り上げないとね.

現地は東京・両国のイベント施設"KFCホール"の4会議室のみとささやか

このご時勢なのでオンライン開催という選択肢は当然あったはずですが, 国内外関係者の強い要望を受けてオンサイト(現地)開催を目指すも, 最終的にはこの状況なので限りなくオンラインに近いハイブリッド.  海外から日本に来るのは難しく, 会場にいるのはわずかな日本人のみ.  国際会議なのに何とも寂しい.

参加者を迎えるはずのエントランスやレセプションカウンターは閑散

研究発表が行われるセッション会場は十分なソーシャルディスタンスが確保され至極安全.  逆に言えば盛り上がりムードに欠ける感じ.

幸か不幸か, デスク1つを独占できるゆったりスペース

この会議は昼食付きで, 会期の3日間を通して参加者にもれなく弁当が配られる.  内容は純和風.  日本人的には珍しくもないけれども, おそらく, 海外からの客人に日本食を味わってもらおうという意図でこれになったのかな…と想像すると, つくづく, ハイブリッド開催は残念.

平凡な和風弁当ながらそこそこおいしく, 決して悪くない

さて, APSIPAは"Asia-Pacific"の名称の通りアジア・太平洋地域の研究者が集まる学術会議(regional conference)で, 世界中の研究者が集まる一流国際会議(例えば同じ分野のIEEE ICASSP)と比べると敷居は低い.  本日(12/16)のプレゼンテーションをいくつか見た中には, 学生の発表練習かと思われるようなものも多く, 失礼ながら日本国内の研究会とレベル的に近い印象.  これでも論文の査読プロセスがある(私も何件か査読した)ので, 一定のクオリティを超える論文だけがこの場に出ているはず.  論文の質と量のバランスを決める責任者であるプログラム委員長の苦悩は推して知るべし?

一方, 本日午前のキーノートスピーチ(招待講演)は豪華で, なんと甘利俊一先生.  当ブログの読者はもしかするとご存じないかもしれませんが, それはもう, 超絶偉大な知の巨人.  例えば, 現在の深層学習の基本技術である確率的勾配降下法(SGD)は, Geoffrey Hintonらが1986年に発表した論文より20年早い[Amari 1967]が最初だったことは有名.  自身が体系化した学問分野, 情報幾何学に関する最初の論文が査読で不採録とされた理由が"Too mathematical"だったという逸話もある.  御年85歳, いまでも単著で論文を書いておられるとか, 頭の中がどうなっているのかわからない, 宇宙人級の頭脳の持ち主.  当のご本人は, これが私の人生で最後の論文と, 本日も変わらずにこやかに話しておられましたが.

めちゃくちゃ難しいことを言っているのになぜか簡単な話のように聞こえる, 独特の語り口

午後のセッションの一つは音響信号処理に関するスペシャルセッション(Advanced Topics on Sound Event and Scene Analysis).  LINE 小松くんと同志社大 井本先生がオーガナイザで, 最初の発表は小松くんが自ら登壇.  後で聞いたら「発表枠を埋めるために3日で実験して論文書きました」と😆  Transformerモデルの各種高速化手法の比較.  3日でやったにしてはよくできていましたよ.


ちなみに小松くんは前職時代の同僚で, 若手のホープとして期待されながらも3年前に転職してLINEへ.  年齢は一回り以上離れているけれど, 前出のIEEE ICASSPなどに参加すると毎晩のように現地の飲み屋を一緒にハシゴして回った悪友の一人.

というわけで今宵はJR両国駅前のチープな立ち飲み屋で懇親会.  メンバーは小松くん, 井本先生, LINE ロビン, Google 久保さん, リオン 昼間さん, 東工大 山岸先生.  このコロナ下, 学会のイベントはオンラインばかりで, こういう懇親会も長らくなかったけど, 久しぶりにやると楽しいし人脈作りにもなるし情報交換もできる.  やっぱりオンラインでは得られないものがあるわけで.  小松くんまた声かけてね😉


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