Tesla Bot
一つはイーロン・マスク率いるテスラ社が人間型ロボットの開発に着手するというニュース. 自社イベント"Tesla AI Day"でのCEO自らの発表に注目が集まり, 賛否両論が(いつものように?)巻き起こりました.
賛否のどちらが多いかというと, 否の方が多いのかな? この記事などはもう頭から否定していて, CEOの人格まで否定しそうな勢い.
曰く, 他のロボット会社が10年以上をかけて開発しているものを1年後にリリースするなど全然無理だ, ASIMO (2018年に撤退)みたいなものがもう1体できる程度だ, 何考えてるんだバカじゃないの, と.
まあそれはそうで, 私も, 発表の冒頭でTesla Botのコスチュームを着たダンサー(明らかに人間w)が元気よく踊り出した時点で目が点😲でございました. まだ影も形もない, というか設計すらできていない. 下の絵の"Human-level hands"って何なの? 「人間並みの手」って…何かを言っているようで実は何も言ってない. こんなのが"Technical Details"って, 完全にジョークです.
ただ, 目くじらを立てて怒る前に留意すべきなのは, "Tesla AI Day"は3時間のイベントで, 大部分は自動運転技術などのわりとマジメなプレゼンテーションだったこと, そしてこのTesla Botの発表は最後の10分弱の尺でオマケ程度に触れられたのみであるということ. Appleの新作発表でよくやるOne More Thingと似たような手口です.
イーロン・マスクのようなビジョナリーには, 我々凡人には見えない遠い未来が見えているはずで, そんな人物がイベントのクライマックスでこんなふうに大風呂敷を広げると, ちょっとワクワクしますね. もちろん, この人の大風呂敷が実現しなかったことが過去に数多くあることは周知の事実なのですが. というわけで私としては以下の記事が同感です.
いずれにせよ, 会社としては狙い通りでした. テスラ社の自動運転ソフトウェアの欠陥に対して当局の調査が入るというネガティブなニュースが流れる中で, さほど手間をかけずに作った10分弱のプレゼン(ジョークあるいはおとり広告)に全世界が注目したのですから.
Atlas
二つ目の話題. Tesla Botのようなぽっと出と違って, 人間型ロボットの開発を10年以上続けているBoston Dynamics社からも新作の発表. いつもながらインパクトのある映像, すげー.
今回特に興味深いのは, 一緒に公開されたメイキング映像. 特に1:59からの失敗シーン. 成功の裏には試行錯誤の積み重ねがあるのですね. 開発チームのインタビューも面白い. ロボティクスは様々な専門性をもったエンジニアが協力して初めて完成する総合技術. そんな開発チームで日本人技術者, 神崎秀(しげる)さんが活躍していると知り, 同じ日本人としてちょっとうれしい.
Boston Dynamics社が初めて注目されたのは, 私が知る限りでは2004年に開発されたBigDig. この不気味な巨大4つ足ロボットをYouTubeで初めて見たときの衝撃といったらもう, 「な, なんじゃこりゃ~!?」です(笑).
そんなユニークな会社ですが, これまで歩んできた道のりは決して平坦ではありません. 軍用に開発したLS3が2015年に米国防総省からの受注を逃し, 会社は当時親会社だったGoogleから日本のソフトバンクに売られ, 今は韓国のHyundaiがオーナー. ロボット市場はいつかブレークすると言われながら一向にブレークしない難しい領域ですが, ブレることなく我が道を行く同社はロボティクス界の希望です.


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